ぎゅっと傷ついた少年を抱きしめて泣き出した女性にガクが近寄る。そして少年に質問する。「なぁお前、東の森に行って誰に傷つけられたんだ?」 「みっ・・・緑色のローブを纏った魔女だ・・・」少年が言った特徴に周りにいた客たちは魔女だ...と口々に言う。どうやら魔女と呼ばれる者の特徴はこのディエズでは周知の事実らしい。それを聞いたガクはそうかと頷くと、この騒動でも御構い無しにオムライスを頬張っていたテンとリクに出るぞと言う。「ふぇ?ふぁら、ふぁへへふぁいふぉ?」 「・・・もう?」 「あのガキをボロボロで帰すぐらいに余裕がねぇってことが分かったからな。俺らがこんな所でのんびり飯食ってるわけにもいかねぇだろ。オムライスは終わったらまた食えばいい。」 「うぅ・・・まだ半分も食べれてないのに・・・」 「リク仕方ないよ。でもまた食べていいって言うからそれの為に頑張ろう?」 「うん。」少し不服げではあるが納得した二人にすまねぇなと頭を一撫でしてから抱き上げる。そのまま店を出ようとしたガクたちに女性が止めに入る。「待って!どこへ行くの・・・?まさか東の森へと行こうっていうの?」 「あぁ。そのつもりだ。」 「ダメよ!東の森には恐ろしい人喰いの魔女がいる。私たちの父親もその魔女に喰われて帰ってこない。このバカ弟もこんなに傷だらけで帰ってきたのよ!?それなのにそんな幼い子たちを連れて行くなんてどうかしているわ!!」 「魔女・・・な。多分それは魔女の仕業じゃねぇよ。傷の周りが黒くなっているのは悪魔によってつけられた証拠だ。そのままほっとけばそいつは死ぬから早く協会支部に連れて行け。あと俺はそれを討伐するのが仕事だからな、止められたってはいそうですかとはいかねぇんだよ。」