こうしたクローズドイノベーションの限界が認識される中で、 2003年、 当時米ハーバード大 学経営大学院の教員であったヘンリー ・ チェスブロウが発表した 『Open Innovation -The New Imperative for Creating and Profiting from Technology』3 によって、 「オープンイノベーション」 の概念が注目されることとなった。 チェスブロウは、1990年代、シリコンバレーでコンピュータディ スクドライブの開発事業に従事する中で、 学術機関と産業界の間に横たわる障壁やギャップに 問題意識を抱いたことを起点に、 主に研究開発における産学間のアイデアや人材の流動性を 高める手法としてオープンイノベーションの概念を定義した4。