第197话 『ゲンキニ』
楽の携帯に千棘からのメールが届く
千棘メール
「【明日のデート】
やっほーダーリン
明日のデートの件なんだけどー
メールフロム ニセノコイビト」
風呂上がりの楽が千棘のメールに気づく
楽
(お、千棘からメール
そういや明日定期デートだっけ
定期デートかぁ…)
楽は万里花の言葉を思い返す
万里花
【楽様は桐崎さんの事はどう--…】
楽
(千棘とはま~た顔合わせ辛く
なっちまってるからなぁ…
…いや、むしろ良い機会かもしれねぇ
今回のデートで自分の気持ちを確かめよう)
待ち合わせ場所で千棘を待つ楽
楽
(オレにとって千棘って一体何なのか
集や橘の言ってる事が真実なのか
もう一度ハッキリさせるんだ…!)
千棘
「おはようダーリン」
楽
「おう、おは…」
いつもより気合いが入った千棘の格好[图片]千棘
「ごめん、待った?」
楽
「…いや、大丈夫…
しかしお前妙に気合い入った格好してんな
何かあったのか?」
千棘
「…そう?別にいつも通りだけど…」
楽
(な…なんだ?気のせいか?
なんだかいつもよりかわいく見える気が…
確かに普段から服装はキッチリしてっけど…
オレが意識してるせいなのか?
いや待て待て、こいつがかわいいのなんて
分かってた事だ
そういう表面部分じゃなく
どう思ってるかを確認しに来たんだ
惑わされるな~!)
頭をブンブンと振る楽
千棘
(…こいつが、服の事に触れるなんて珍しいわね
少しは気合い入れてきたかいあったかな…
万里花がいなくなって分かった事がある
それは、あの子はやっぱり凄い奴だってこと…
あの子の頑張りに比べたら
私なんてまだ何もしてなくて
恋人のフリしてたから
いがみ合ってただけ…
本当は少しだけ羨ましかった…
だからこそ負けられない!!
半端な事いてちゃあの子に笑わそうだもん…!
私だってもっともっと頑張るんだから…!!)
楽
「それにしても、こんな朝っぱらから
集まる必要あったのか?まだ9時だぞ?」
寒そうに身体を震わす楽
千棘
「あー…コホンコホン
ちょっといいかしら楽
今日のデートは私が仕切るから!」
楽
「え…?な…なんだ?
また何か企んでんのか?」
千棘
「いいからあんたは
私に付いてくればいいの
分かった?」
楽
「…分かったけど」
楽
(…何考えてんだこいつ
こないだも突然オレの好みに会わせた
プラン練ってくれてたけど
今日もそういうのなのか…?)
千棘
「さあ!着いたわよ!」
二人が着いたのはテーマパーク
楽
「…凡矢理…コースターランド?」
千棘
「ふふ~ん、どう?面白そうでしょ~
最近出来て話題のジェットコースターだけの
テーマパークなのよ~
前から来てみたかったのよね~
どうどう?すっごく楽しそうじゃない?
ワクワクしてきた?」
楽
「え?ああ…まぁ…」
千棘
(そう、今日の目標…それは…!
楽が元気になるデートをすること…!)
1人気合いが入ってる千棘
千棘
(万里花がいなくなってから
なんだかこいつずっと元気が無いからなぁ
今日はスカっとすることをたくさんして
気分を変えてあげよう…!)
楽
「こんなの出来てたんだ…」
千棘
「さぁさぁ早くいきましょ!
なんかここ超グルグルする奴とかあるんだって!
すっごいグルグルだって!
フリーパスとってあるから
一日中だって遊べるわよ!」
楽
「え!?今日1日中ここいんの!?」
千棘
「あれ?ジェットコースター嫌い?」
楽
「いや嫌いじゃねーけど
一日中グルグルしたいほど好きでもねーよ
まぁ別にいいんだけど」
千棘
「…ハハ~ン、怖いんだ?」
フッっと笑う楽
ジェットコースターに乗った楽は…
ダウンしてしまう
ベンチに横になっている楽
楽
「想像以上のグルグルだった」
千棘
「さしもの私もあんなにグルグルするとは…
大丈夫?あんたって本当にもやしよねぇ」
楽
「2時間の内に30回もグルグルしたら
普通こうなるんだよ!!」
千棘
(…う~ん、あんまり元気には
ならなかったわね
仕方ない、少しプランを変更しよう)
カラオケに来た二人
楽
「…何気に二人でカラオケは初めてだな」
千棘
「男子同士、女子同士ではよく来るんだけどね~
さあ!今日はガンガン歌って盛り上がるわよ!?
曲入れて曲!」
楽
「はりきってんな~」
あまり乗り気では無い様子の楽
千棘
「あ、ちなみにあんた今日は演歌ナシね!
もっと元気出そうなヤツ歌って」
ビシッっと楽を指す千棘
楽
「なんでそんな指定すんだよ
ちなみにお前はどういうの歌うんだ?」
千棘
(う~ん…普段ははやりの曲とかだけど…
今日はこいつの為に元気の出る
はげしくてノリの良い…)
ハードロックを歌う千棘
千棘
「シャナ”ナ”ナ”ナ”ナ”ナ”ナ”ナ”ナ”
ヴェガァァムドゥザジャンゴォ」
楽
(なぜそんなハードロック!!?)[图片]楽
「しかも声でけぇ!千棘もう少し静かに…」
耳を塞いでいる楽
カラオケを出た楽はぐったりしている
千棘
「…なんでそんなグッタリしてるの?」
楽
「別に」
千棘
(う~ん、なかなか上手くいかないわねぇ
どうやったら元気出るかな…)
ピコンとあることを思い付く千棘
2人が着いたのはバッティングセンター
千棘
「やっぱスカッっとしたきゃ
運動でしょ運動!」
楽
(こいつストレスたまってんのかなぁ…)
楽
「それにしてもデートで来る場所かここ?」
千棘
「楽しけりゃいいの!
機械一つしか空いてないから交代ね
かっとばすわよー!!」
楽
(…今日のこいつは
何がしたいのか分かんねぇな
オレに合わせたプランってわけでも
無さそうだけど…)
千棘は160キロのボールを軽々と打つ
楽は85キロのボールを逃す楽
千棘
「…」
楽
「おい、その【それが打てないんだ】の
マジ顔やめろ!!初めて何だよ!!」[图片]千棘
「ったく情けないわね~
あんたホントに男の子?
ちょっとじっとしてて」
楽
「あ?」
千棘が楽の背後に立ち
フォームのアドバイスをし始める
楽
「おい待ていきなり何すん…」
千棘
「あんたが下手クソだからよ!
あんただってちょっとは
打ってみたいでしょ?」
顔を赤くして焦る楽
楽
「その前に恥ずかしいっつーの…!!
それにその…この体勢だとアレがその
当たるっちゅーか…」
千棘
「?当たる?何がよ?
……………変態!!!」
楽
「オレは悪くな…」
楽をぶん殴る千棘
その後も千棘は色々なプランを試すも
エナジードリンク入の和菓子を食べさせたり
ライブに連れていったり
千棘
「あんたがこのアーティストを
好きって聞いたんだけど…」
楽
「え…初耳…」
千棘
「誤情報!?」
色々回った挙句ボロボロの楽
楽
「…なぁ、お前オレに恨みでもあんのか?
どんどんボロボロになっていくんだが…」
千棘
「知らない知らない、私のせいじゃない!」
頭を抱える千棘
千棘
(うえ~なんでこうなんの?
私はこいつに元気になって
もらいたいだけなのに
私だって頑張ってるのに~)
楽
(やれやれ、最近少しは女らしく
なってきたと思ってたけど)
楽
「相変わらずがさつな暴力女だな」
ボソッっと発した楽の言葉に
カァーっとなる千棘
千棘
「誰ががさつな暴力女だ---!!」
千棘に殴られて吹っ飛ぶ楽
すぐにハッっとなる千棘
千棘
「私がだ---!!」
千棘
(またやってしまったー!!)
楽の吹っ飛んだ着地点に
青い顔をして近づく千棘
千棘
「う…楽~大丈夫~…?」
楽
「…ったくなんなんだよ、
今日のお前は!!
何考えてんのか分かんねーし
わけ分からんぞ」
千棘
「…そんな私だって色々考えて…」
楽
「それが分かんねーっつーの
人のこと振り回してすぐ手ぇ出して
一体何がしてーんだよ」
千棘
「な、何よ…殴ったのはそりゃ悪かったけど
私だって私なりに頑張って…!」
楽
「?」
涙目になる千棘
千棘
「…そんなこと言うならもう知らない!
帰る!」
楽
「はぁ!?おい…!待てって…」
楽が止めるのも聞かず帰って行く千棘
楽
「…なんなんだよ…」
楽
(…おい集…それに橘…お前らはやっぱり
勘違いしてんだと思うぞ?)
泣きながら歩いている千棘
楽
(オレは…千棘のことは嫌いじゃねーよ
でも恋愛対象としてってんなら…
こんなわけ分かんねー奴を
好きかどうかは甚だ疑問だよ
だいたいあいつ好きな奴がいるんだろ?
オレがもし千棘を好きになった所で
そんなの…)
楽
「…帰るか…」
帰る途中にラーメン屋を見つける楽
楽
(あ…そういや夕飯食って帰るって言っちまったな
ラーメンでも食ってくか、ちと早いけど)
ラーメン屋に入る楽
楽
「…ちわ~す、おやっさ~ん
オレいつもの…」
店内客
「ぶぱっ!!」
ラーメンを吹き出すような音が聞こえる
そっちの方を見ると千棘が居た
千棘が餃子3人前と炒飯を食べ終え
ラーメン5杯目を食べていた
口や鼻から麺を吹き出して焦る千棘の顔[图片]楽
「…あ?」
煽り
「スープまで完飲ッ!!次回、更に!?」
次回、ニセコイ 198 へ!!