バサリと羽を広げてから抱きしめたままのリクと共に自らを覆うテン。再び開かれた時には幼い二人はおらず、青年の姿をしたテンとリクを初めて見たヤマトは目を丸くしていたが、口を出すことはせずに行く末を見守っていた。「リク・・・リク・・・目を開けて。ボクはリクがいなければ何もできなくなってしまう。」目を瞑ったまま浅い息をするリクにテンが口付ける。するとリクの左胸が輝き始め、突き刺さる黒いものは消えて傷口も塞がる。まるでそこに何もなかったかのように元通りになったのを見てヤマトは息を飲む。「・・・テン、にぃ・・・・・・」 「リク、もう痛くない?」 「・・・うん。ごめんね?」 「これぐらいどうってことないよ。リクを失うぐらいならボクの命、いくらでもあげる。」瀕死だったリクが起き上がり、傷を受ける前と変わらない状態になったが、リクを抱き締めるテンの顔色は白い。自らの命を分け与えるということはそんな容易いことじゃないのだと分かる。だからこそ、そうまでしてリクを守ろうとするテンにガクは戻れないと言い切ったのだとヤマトは納得する。「なぁテン、リク、それはもう何度やったんだ?」