&D(ワイド&ダイナミック)思想を最初に実践したZeroシリーズ第1号機にあたるスピーカーシステム。
低域には新開発のアルファーコーンを採用した30cmコーン型ウーファーを搭載しています。
磁気効率の良いエッジワウンド・ボイスコイルや、振動系の強度を高めてfoも低くするためのボイスコイル・リング、リニアリティの良い特殊ダンパー等を採用しています。
さらに、フレームには頑丈なダイキャストフレームを採用しています。
中域には10cmの複合型スコーカーを搭載しています。
コンピューターの模擬実験(シミュレーション)を繰返して必要な材質と形状を選定しており、フェノール樹脂含浸のフェノリックス・コーン紙と耐蝕アルミ・ドーム・ダイアフラムを組合わせた複合型とすることで、受持帯域全体に分割振動の無い優れた特性を実現しています。
また、ドームイコライザーや大型磁気回路、耐蝕ボイスコイル等で、指向特性と耐入力、歪率を向上しています。
高域には5年間の研究開発を経て完成したダイナフラット・リボン・トゥイーターを搭載しています。
プリン・ボイスコイルの平板リボン・ダイアフラムは、従来タイプのトゥイーターに比べて1/4~1/20の形質量を実現し、さらに精密マイクロホンの製作技術を生かしてダイアフラム全体に均一な緊張力を持たせた構造を採用しています。また、ベース・フィルムは430℃の高熱に耐えるポリイミド系樹脂を採用しています。
磁気回路にはサマリューム・コバルト・マグネットのプッシュプル磁気回路を搭載することで能率とリニアリティを高め、イコライザー付の前面ホーンによって広い角度への拡散を可能にしています。
ネットワーク部にはメタライズド・フィルム・コンデンサーや、エポキシ・ディッピング・コイル、ねじりピッチの小さい無酸素銅ワイアなど、独自の素材を投入しています。
エンクロージャーには精密チューニングされたバスレフ・キャビネットを採用しています。
内部での背面反射に着目して、リフレクター・パネル等の特殊内部処理を行い、反射や定在波がほとんど除かれて、低音域の放射特性を改善しています。
さらに、指向特性の優れたトゥイーターとスコーカーを垂直軸上に配置し、日本ビクター独自のフェイズ・モアレ伝送パターン測定法を駆使して取付け位置をミリ単位で調整しています。これにより、ユニット間の相互干渉を防いでいます。