殊勝な感じに俺に頭を下げるイレーヌ。目はちゃんと見えてるようだな。顔が腫れているせいで目が開いてんのかすらわからなかったんだ。
「じゃあクロエ、イレーヌを先に俺の部屋へ連れてってくれ。俺は商人と少し話あるんで」
二人がいなくなった後、俺は商人に幾つかの質問をした。
なぜ前の購入者はあんなことをしたか。
イレーヌの生い立ちについて。
実は汚染病以外にも病を持っているんじゃないか。
そしてイレーヌの顔が仮に元のままで、かつ健康だった場合、取引相場はいくらくらいになるか。
全てを聞き終えてから俺は宿に向かう。部屋の中から会話が聞こえてきたので、盗み聞きさせてもらった。