カウンセリングを終え部屋に戻って来て、一織の電話で天が倒れたことを知った。 きっと自分のせいだと思い、たまらずに発作を起こして・・・ でも、それ以上に天の事が心配で・・・ 目を覚ましたと同時に、ベッドを飛び出し無我夢中でドアを開けた。 今すぐ天に会いたかった。 会って、様子を確かめて・・・ 拒否されるとか、会うのが怖いとか、そんなことは微塵も頭に浮かばなかった。 ただとにかく、天の傍に行きたくて、それだけのために、自分はあれだけ怖かったドアを躊躇いもなく開いて外に出たのだ。 どうやって天のいる病室を見つけたのかは覚えていない。 多分、勘が良かっただけ。 天のいる部屋を見つけると、その部屋のドアも開けて中に入った。 ベッドに横たわる天を目にして、心臓が止まりかけた。 傍に寄って、寝顔をのぞき込む。 顔色は悪かったが、苦しそうな気配はない。 よかった・・・ ほっと胸を撫で下ろすと、天の唇が音もなく何かを呟くように開いた。 その形が、自分の名前を呼んでいるような気がして、陸の胸がぎゅっと痛む。「天にぃ・・・」囁くように名前を呼びながら、陸は久しぶりに天の体に触れてみた。 なんとなくく冷たいイメージだった天の体温は、けしてそんなことは無く。生きていることを陸に伝えるように暖かかった。 その温もりを感じているうちに、どうにも眠気が襲ってきた。 ここで寝ている場合ではないと思いつつ、少しだけ…と天の布団に寄りかかる。 布団越しに伝わってくる天の体温が、陸の眠気をさらに誘った。 安心する温もり。 天がきちんと生きているという証。(大丈夫。大丈夫。天にぃは俺が守ってあげる・・・)何時だって守られていた。今回の事だって、迷惑ばかりかけている。 あげく、天が倒れる原因にまでなってしまった。 一織は違うと否定したけれど、きっと違いない。「ごめんね、天にぃ・・・」