何気軽に話してるんですかーっと緊張する悠介に、ゼシャールドは真剣な表情になると、この話を聞かせた意図を口にした。
「ワシはの、邪神として喚ばれたお主がこの世界で何を成すのか、そこが気になっておるんじゃ」
諸説ある邪神のもたらす災厄についても、当時それを記した者や言い伝えた者達が何を持って災厄としたか、時の権力者による裁定か、一般の人々の評価か。それ如何によっては、災厄は災厄では無くなる場合もある。
結局は『誰にとっての災厄なのか』という事だ。
「もしかしたら、ワシは破滅の道への一歩を踏んでいるのやもしれん、だが……」
悠介に特異な力を与えてこの世界に喚んだ存在の意図は分からないが、古来より言い伝えられて来た歴史の節目とも言える時期に出現を記される邪神が、世界の裁断を行うような超越者的存在であった場合。
裁断の基準となる情報は正しく、多いが良いだろうという考えに至った。
「お主には、この世界の多くを見聞きし、知って貰いたいのじゃ」