―まあ、あいつは七瀬が渡すものならごみでも喜ぶんだろうが… はにかみ嬉しそうに笑っていた陸が、しかし一瞬で眉を下げて瞳を潤ませていく。その変化に、楽は驚きたじろいだ。それを後ろから、呆れつつ笑いを抑えて見つめる大和。 「ど、どうした⁉」 「天にぃ、うう、ぐすぅ…」 「お、おい、泣くなよ。二階堂どうしたんだよこれ⁉」 「俺のせいじゃねえし。陸、ちゃんと言わないと、な?」 「うう、うううう、大和、さん。」 陸が泣きながら説明し始める。どうやら陸は熱中して作っていたらしく、寝不足がたたり、ある時音楽番組のリハーサルで失敗続きをしたらしい。それを、なんと天が見ていたらしくお説教タイムとなったそうだ。 「そ、そうか…」 「あんときは本当、辛かったなあ…梅雨時なのに、ひょうが降ってつららが落ちてきたよ。」 大和も眼鏡をはずし目頭を抑えていた。天の説教は心身共に抉ってくるため辛さは皆経験済みなのだ。 「でも、災厄なことに」 「え?」 「陸は反撃しちゃったんだよな。」 ―て、天にぃがそんなに怒ることないじゃない‼‼ ―は。何⁉陸口答えするの⁉ ―わ、私だって悪いことわかってる‼でも、これは、天にぃのためだもん‼ ―僕が何⁉責任転嫁するつもり⁉ ―‼‼違う‼‼天にぃに、喜んでほしくて ―こんな失敗するようなアイドル、ぼくは軽蔑するよ。絶対喜ばない。 ―‼‼…て、天にぃのバカああ‼‼もういい‼‼‼大っ嫌い‼‼‼ 「おおう。」 「悪いのは私なのに。軽蔑するって言われてかああってなって。」 「嫌いって言った挙句、編み途中のマフラー水につけてごみ箱に投げたんだよなあ。」 想像して楽は少し体を引いた。可愛らしい見た目から想像できない行動だが、そういえばIDOLiSH7の女性陣は皆ギャップがあるのだったと思いだす。 「あれから天にぃ、仕事忙しくて会えてなくて…」