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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなのだ~/くまなの
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71 クマさん、卵のためにクリモニアの街に戻る
フィナ視点を書こうと思ったけど、なぜかこうなった。
卵がない。
大問題だ。
目玉焼きも、スクランブルエッグも食べられない。
卵サンドもプリンも作れない。
至急補給しなければならない。
なので、
「フィナ、街に帰るけど、フィナも帰る?」
「ふぇへ?」
フィナが変な返事をする。
「卵が無いから孤児院まで行こうと思うんだけど」
「ユナお姉ちゃん帰っちゃうの」
転移門でちょちょいとね。
「そうだけど。フィナは別に王都見物してていいけど、どうする?」
「帰ります。ノア様にお別れの挨拶をしてきてもいいですか?」
「ああ、大丈夫よ。今日には戻ってくるから」
「・・・・・・・?」
フィナが小さく首を傾げます。
「つまり、今から街に向かって、さらに今日中に王都に戻ってくるってことですか」
「そうだけど」
なんか、話が噛み合ってない気がする。
「早ければ午後には戻ってくるけど」
「ユナお姉ちゃん、クマさんがかわいそうです。わたし卵が無くても大丈夫です。だから、クマさんにそんな酷いことしないでください」
「・・・・・・?」
今度はわたしが首を傾げます。
「転移門で移動するからクマは使わないよ」
「転移門?」
今度はフィナが首を傾げます。
ああ、フィナには説明してなかったんだ。
「ごめん、フィナはずっと一緒にいるから話しているつもりでいた。クマの転移門があるから一瞬で街に戻れるよ」
「・・・・・ユナお姉ちゃん、言っている意味が分かりません」
わたしもそう思うよ。
いきなり、転移門とか、一瞬で移動できるか言われても困るよね。
わたしだって現実の世界でそんなことを言われたら、こいつ頭おかしいじゃない、ぐらいは思う。
そもそもこの世界に転移する魔法が存在するかも分からないし、無ければフィナがそんなことを言い出すのは当たり前のことだ。
「えーと、フィナ少し聞きたいだけど。この国に転移って言うか、場所と場所を一瞬で移動する方法ってある?」
「・・・・・・・・・・」
「たとえば、王都から、一瞬で街まで行ける魔法とか」
「聞いたことがありません」
ですよね~。
うーん、転移門のことフィナに話しても大丈夫かな。
フィナが言いふらすような子じゃないし、
まあ、他人に知られても、わたしにしか使用は出来ないし、設置する場所はクマハウスの中だし、大丈夫だと結論にたどり着く。
「フィナ、わたし、あなたのこと信じているから」
「えーと、はい?」
首を傾げながら頷うなずいてくれる。
わたしは倉庫に向かいクマの転移門を設置する。
「これ、確か向こうの倉庫にもあったけど」
倉庫にあるけどフィナには説明はしてなかった。
長い間、一緒にいるから話しているつもりでいたよ。
「この門と街にある門と繋がっているんだよ」
「ユナ、お姉ちゃん。いくらわたしでも騙されません。この門をくぐったらお母さんのいる街にいけるなら、誰も苦労しません」
ごもっともです。
「とりあえず、行けば分かるわ」
フィナの手を握り、クマの転移門のドアを開ける。
その先にはクリモニアの街にあるクマハウスの倉庫の中に出る。
「ユナお姉ちゃん?」
「誰にも言わないでね。あと、わたしがいないと移動は出来ないから」
倉庫から出ると懐かしいクリモニアの街。
「この時間ならティルミナさんは孤児院にいるはずだから行きましょう」
二人で孤児院に向かう。
「クマのお姉ちゃん」
孤児院の近くにくると外で遊んでいた子供たちが駆け寄ってくる。
幼年組とわたしが勝手に名付けた子達だ。
まだ、仕事も出来ない六歳以下の子供たちだけど。
自分たちよりも年下の子を面倒を見る偉い子たちだ。
一人が気づくと二人、三人とわたしに駆け寄ってくる。
わたしの周りに子供たちが増える。
気のせいかな、子供が増えている気がするけど。
「みんな、何も無かった?」
「うん、大丈夫だよ」
「僕たち、ちゃんと仕事してたよ」
みんなの頭を撫でてあげる。
「ティルミナさんはいる?」
「うん、先生と一緒にいるよ」
みんなに元気に遊ぶように言うと、わたしは孤児院に向かう。
中に入ると院長先生とティルミナさんとリズの3人がお茶を飲んでいるところだった。
「お母さん」
「フィナ、それにユナちゃんも帰ってきたの」
「すぐに王都に戻りますよ。卵が欲しくて戻ってきたんです」
「卵?」
「卵、ありますか?」
「この卵は全てユナちゃんの物だから、あると言えばあるけど」
「商業ギルドに迷惑が掛からない程度、貰えますか?」
「いつ、王都に戻るの」
「今日にでも」
「早いのね」
「卵が明日になるなら明日でも構いませんけど」
「そうね。いくつぐらい欲しいの」
「百でも二百でも多ければ多いほど」
「それじゃ、明日でもいい? 今日、百個、明日はもっと多く用意できるからはずだから」
「了解。それじゃフィナ。出発は明日にするから今日はティルミナさんと一緒にいていいよ。もし、このままこっちに戻るなら、それでもいいけど」
「いえ、わたしも王都に戻ります。ノア様にお別れの挨拶もしてませんから」
「それじゃ、明日、この孤児院で会いましょう。ああ、それからティルミナさんと皆さんにお願いがあるんですけど」
「なに?」
「今度、一ヶ月過ぎあたりにジャガイモを売りに人が来ると思うので受け取ってもらえますか。お金は卵の売り上げから引いといてください」
「ジャガイモ? 確か、食べるとお腹が痛くなる食べ物よね」
ここでもそうか。
「芽や紫色に変色している部分を食べなければ大丈夫ですよ」
「そうなの?」
「なので、今度食べるので受け取っておいてください」
「わかったわ」
今日の分の卵を受け取り孤児院から離れる。
街の中を歩いていると王都ほどの視線は無い。
たまに小さい子が、「クマさんだ」と言われるぐらいだ。
「見つけたわ」
わたしの前に獲物を見つけたような目をしたミレーヌさんがいる。
「捜したわよ。ユナちゃん」
「えーと、何かようですか」
「あの、食べ物なに!」
「食べ物って?」
「王都に行く前にわたしに渡した食べ物よ」
「ああ、プリン」
そういえば渡した記憶がある。
「そう、それ、なにあの美味しい食べ物」
「それにしても、よくわたしが街にいるの分かりましたね」
「その格好で気づかない人はいないわよ。商業ギルドの職員があなたを見かけたって聞いたから捜したのよ。さあ、あの食べ物をわたしに出しなさい」
わたしの肩をがっしりと掴む。
「ミレーヌさん、性格が変わってますよ」
「あの食べ物の為なら変わってみせるわ」
「あげますから離してください」
そう言うとやっと離れてくれる。
「ほんとね。嘘ついたら、恨むからね」
クマボックスから、プリンを4つ出す。
「今持っているのはそれが最後です」
「ありがとう」
プリンを受け取って嬉しそうにする。
ミレーヌさんは落とさないようにすぐにアイテム袋に仕舞う。
「ねえ、ユナちゃん。お店出さない? これ、絶対に売れるわよ」
「それ、卵使うんですよ。今、卵の価格ってどんな感じですか?」
「かなり、下がっているよ。毎日、二百から三百個入荷しているからね」
なら、店を出してもいいかな。
コケッコウの数は四百羽ぐらい。
千羽は欲しいな。
そう考えると世話をする人が少ないかな。
孤児院の子供たちだけでは無理な気がする。
まあ、それはのちのち考えよう。
「それじゃ、お店の確保お願いしてもいいですか? 場所は孤児院の近くの場所で、店は広めで、店の前は人だかりが出来ても邪魔にならないほどのスペースがある場所を」
「注文が多いわね」
「店を開く場合。孤児院の子供たちを雇う予定だからね。だから、なるべく近いところがいいのよ。あと、自分で言うのもあれだけど、人気が出ると思うから広めの店、店の前に人だかりが出来たら近くに迷惑が掛かるから」
「わかったわ。探してみるわ」
「急いでないからゆっくりでいいよ。また、明日には王都に戻るつもりだから」
ミレーヌさんと別れてクマハウスに戻る。
さっそく、手に入れた百個の卵でプリン作りをはじめる。
今日の残り時間はこれだけで終わりそうだ。
少し、報告を。
1月1日より、新作を投稿してます。(僕の異世界の日常)
しかも、相変わらす書置きも無く思いつきのまま書いてます。
(誤字、脱字は健在です。スルースキルお持ちの方、歓迎です)
なので、こちらの投稿は2.3日置きになると思いますが、よろしくお願いします。
>目次
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