ミツキから、街の角にあるオーテオフィアス家御用達のチーズ店に向かうと、確かにツムギは立ち寄り、すぐに出ていったらしい。 「ツムギちゃん…何処かな…」 ぎゅっとテンの腕を握るリクは心配そうに窓から外を見つめた。 「…街医者の所に行くぞ」 慌ただしく乗ってきたガクは口早にそう告げた。 「ツムギの特徴にそっくりな女性が破落戸達に襲われてそこに運び込まれたらしい」 「っ……‼」 「破落戸達はその場に居合わせた自警団達が捕らえてくれたらしいんだが、女性は頭を打ったのか目を覚ましてないらしい」 「っガクさんっっ早く……早くそこ行こう…‼」 大きなその瞳に涙を浮かべ、ガクにすがるリクを座席にしっかりと座らせた。 「どうしよう……ツムギちゃん……私の側にいたから……」 カタカタと震え始めたリクをぎゅっとテンが抱き締め 「リク、リク……大丈夫だよ。ツムギはそんなに柔な女性じゃないでしょ?」 「ぅぅ……テンにぃぃ……」 ぽろぽろと涙を流し始めたリクをゆっくりとあやすように撫でた。