石畳に揺れるキャリッジの中、ガクは情報を整理していた。 王宮とパイプを持ちたいホークが自分の障害になりえそうな人物へ暗殺を仕掛けているのではないか…?それがソウゴとナギの推測だった。 ガクもそんな気が薄々と感じ始めていた。ガク自身が狙われたのは単なる邪魔だったからだろう。 なんだか、とんでもない事に巻き込まれた…と大きなため息を吐き、窓へと視線を向けた。 「止めてくれ!!」 御者に叫び、馬車が止まったと同時にガクは路地へと飛び込んだ。「おい!!しっかりしろ!!」 ぐったりと道に倒れている少年をゆっくりと抱き起こした。 少年がぎゅっと目を瞑り、呼吸も浅かった。身に着けていた服はズタズタに裂かれ、露出している肌には血が滲んでいたり、青痣があった。その他に白濁したナニカが付着しており 想像もしたくないコトをされたのだろう、と容易に想像がついた。 「おい!!おい…!!大丈夫か!!?」 「……ぅ……」 うっすらと開いたその瞳にガクは見覚えがあった。 「お前…」 「……ぅ……け……」 小さく呟き、意識を手放した。 「おい!!おい…!!」 ガクは少年の胸に自身の耳を押し当て、鼓動を確かめた。少し弱々しいがしっかりと刻むリズムにほっと胸をなでおろした。 「もう少しの辛抱だからな」 そう呟き、着ていた上着で少年をしっかり覆い自身の屋敷へと急いだ。