そして、それは五条にももたらされる。許してはならない親友が最愛の人の大切な保護者となった。愛する者を守り育てた者を無下にしてはいけないという、どこからかかき集めた常識を盾にする。そうすることで五条と夏油は対立しつつも互いが最大の理解者である親友という不可思議な現状が認められているのだ。それは悲しい別れを経験した友を、友と呼ぶ権利を得たような許されぬ安堵をもたらした。五条は乙骨憂太という存在によってもたらされた奇跡に感謝を感じぬ日はない。「大好きだよ、憂太」最強の名のもとに孤独な戦いに挑んでいた自分の隣で、共に戦うだけではなく、失った親友まで連れてきてくれた最愛を五条はきつく抱きしめた。「ふふ、今日はなんだか甘えたですね」書類をテーブルへと置いて、憂太が五条の髪を梳く。その優しいひと時が五条にとって何よりも守りたい日常である。数日後、憂太経由で五条の部屋の鍵をよこせと夏油に言われることになり一悶着あるのだが、それはまた別の機会に