生まれる前からずっと一緒にいた陸に対する感情が家族への愛情ではなくなったのは中学生の頃。思春期を迎え、誰が好きだとか付き合っているだとか気になりだす頃に、天は陸への思いの歪さを知った。家族として好きという気持ちは残っているのに、それ以上に陸と家族以上のことをしたいと思うのだ。最初はそれを異常だと認識できていた。家族で、妹で、双子で、抗いようのない血の繋がりが天の感情を否定していたのだ。同級生たちが誰が可愛いだとか、美人だとか言っているのを聞いてその子を見て共感しようと努力もした。だけど、何を見ても、何をしても陸への思いは消えるどころか、益々強めてしまった。可愛いと言われる子を見ても陸の方が可愛いし、美人と言われる子を見ても同じく陸の方が美人だった。だから天は否定することを諦めた。最悪言わなければ兄妹でいられるのだ。だったら墓場まで持っていく覚悟で思いを燻らせておくつもりでいた。「ごめんね天にぃ、オレのこと気持ち悪いと思ってくれても構わないから、聞いて欲しいんだ。オレね、天にぃが好きなんだ。家族としてだけじゃなくて、一人の男の人として。・・・やっぱり、気持ち悪いよね。ごめん。家族なのにこんな・・・」