「そうですね。では、早速魔力を通して見ましょう」 そう言いながらヴァンダルーは機材に手を向けると、そこから半透明の霊体が出た。そして、激しく発光し、はじけるような音を立て始める。まるで電撃のようだ。 そして霊体は機材に向かって放たれた。霊体から魔力が機材に供給され、それは配線を通って他の機材にも流れ、作動し、色とりどりの光を発した。「配線を使った複数のマジックアイテムの連結は、成功のようですね。【霊体変化:雷】が、やっと役に立ちます」 配線を繋いだのは、【霊体変化:雷】を活用するためのものだった。 『雷雲の神』フィトゥンと、【マリオネッター】のハジメ・イヌイの魂を喰らった事で獲得した【霊体変化:雷】スキル。それは、霊体とそこから出す魔力の性質を雷……つまり電気に変化させる効果のスキルだった。 性質が電気なので、変化している間の霊体や魔力は水や金属は通るが、ゴムは通らない。しかし、性質が変化していても霊体や魔力である事に違いはないので、感電……感魔しても痺れる事はなく、またすぐにエネルギーが拡散して貯めるのが難しいという事もない。そこでヴァンダルーは、配線でバッテリーの役割を果たす魔石部分と、複数のマジックアイテムを繋いだ機材を創ったのだ。 これで、これまでは使用者が一つ一つ魔力を流すか、電池代わりになる高価な魔石を内蔵させなければならなかったマジックアイテムが、配線を繋ぐだけで同時に複数動かす事が出来る。「上手くいったみたいね。大型の蓄電池は『地球』ではかなり高価だった覚えがあるけど……電気っぽくなっていても魔力なのよね」「魔力ですからね」 電気と違い、魔力を貯めるのは技術的には容易だ。それなりの大きさの魔石が必要だから、原材料費はそれなりにかかるが。しかし、その原価を払えば簡単に魔力を溜める装置を作る事が出来る