ん?「――って、待て。そもそも俺をいくつだと思ってた?」「20代前半から、中盤くらいかと……その……あなたはあまりにも落ち着きがありすぎると、言いますか」「……なるほど」 俺は、少し冗談めかして言った。「で、これから俺は弟みたいな扱いになったりするのか?」「い、いいえ――あなたはこの”蠅王ノ戦団”の王です。年下であろうと、忠誠を誓った王への態度を今さら変える気はありません。どうか、ご安心を」「……蠅王、か」 蠅の王。「といっても蠅王のマスクは、顔を隠すために着けてるだけだしな……ま、気に入ってはいるんだが。ただ、さすがに俺は王様の器じゃないだろ」「いいえ、トーカ殿」 セラスが顔を近づけてくる。「あなたは今や、私の――」 彼女の艶やかな金髪が、その白い頬にサラリと垂れた。「かけがえのない、たった一人の王です」