ロドコルテの御使いに、つまり天使になってから数年が経った町田亜乱や島田泉、そして円藤硬弥は、輪廻転生システムのメンテナンスをある程度行う事が出来るようになっていた。 本格的な調整は無理だが、発生したエラーを解決する程度は出来る。その程度だ。『何とか鎮まったわね』『まさか『オリジン』の方でエラーが起きるとは……アンデッドの大量発生でもあったのか?』 そのお蔭で、突然エラーを起こした輪廻転生システムのメンテナンスを行う事が出来た。『もしアンデッドの大量発生なら一大事だがその様子は無いよ。六道の記録を見ても、死属性の実験を行った様子はない』『じゃあ、いったい何が起きたの? 『オリジン』にはヴァンダルーはいないのよ』 輪廻転生システムに重篤なエラーやバグを起こさせる原因は、ヴァンダルー。ロドコルテだけでは無く、泉達にもそんな認識があった。 ロドコルテのシステムは本来完成度が高く、定期的にメンテナンスさえしていればヴァンダルー以外の原因でエラーやバグが起きる事は無いのだ。『そうだよな、幾らあいつでも異世界から異世界に飛びまわるなんて事は……前言撤回。おい、ジョゼフの記録を見て見ろ』『何かおかしい事でもあったのか? 確かに急に不眠症や幻聴幻覚が快方に向かったのは、大きな事だと思うが』『違う、夢だ。夢の記録を見て見ろ!』『夢?』 ロドコルテの輪廻転生システムを通して見る人々の記録には、個人が見た夢の記録も含まれている。ただ、不安定で理不尽な夢の記録だ、ロドコルテは勿論、泉達も滅多に見る事はなかった。