「天にぃ、今は待って…」 「なんで?」 膝下まであるスカートの隙間から太腿に手を添え天の手が上へと上へと上がってくる。捲り上がるスカートに手を伸ばしたいのにスカートで見えない天の手が生き物のように動くそれに興奮が高まる。陸の太腿はピクと反応し思わず足に力を込める。 「あ、だめ…っ!ん、きょ、きょう、友達とご」 合コンと言いかけて咄嗟に口を結んだ。興奮が生み出した火照る熱が一気に冷める。目を彷徨わせ自然と出てくる言葉を陸は待つ。言葉を考えてしまったらだめだ。 「ご?」 「ご、合流して遊ぶの!」 苦しいがなんとか誤魔化されることを祈るしかない。そろりと天を見るとなんだか納得してくれていないような。友人との約束を伝えると天の手は陸の太腿から離れた。 「ふーん、そっか」 「う、うん」 「ボクも今日楽に飲み会誘われてたんだよね」 「楽さん?」 「そう。でも断ったんだよ。陸も今日早いって聞いてたから」 「…」 「残念」 天は陸の頭を撫でながら抱きしめていた身体を離した。離れていく体温がなんだか寂しく感じたが天の後ろ姿を見つめながら陸はほっと息を吐いた。陸は天と双子の兄妹ではあるが恋人同士であった。生まれたときから一緒にいて天は大好きな兄だったのに。兄以上の存在になった。お互いが何を言うわけでもなく生まれてきた運命とともに恋に落ちたのは必然だったかもしれない。だが2人の片想いは長かった。落ちた恋を拗らせてしまったのだ。 兄妹でという想いあったがそれ以上に天も陸もお互いがすきでその想いは誰にも邪魔することはできない。