「あのさ、僕、ずっと考えてたんだけど」 「なぁに?」 「陸はあの女から離れられないでしょ?それはもうどうでもいいんだ、僕が陸といれるなら、なんだって」陸は困ったように笑った。「だから、一夫多妻制度にしない?」 「は?」 「僕が旦那さんで、陸は奥さん。あの女は、第二夫人ってことにしておく」 「……はあ?」 「だって、そうしたいんだもん。そうするって決めてたんだ。あの人には僕から説得するから、」 「ちょ、ちょっと待って、天にぃ…えっと、そんなことずっと考えてたの?」 「うん、ここ4年くらいはずっと」 「てんにぃ…大人になって、ばかになっちゃったの…?」陸の困惑した様子に、天はくすくすと肩を揺らした。 こんな風に笑えたのも、ずいぶんと久し振りだなと思えた。「ひどいな、陸…でもそうかも。いっつも陸のこと考えてたから、陸に似ちゃったのかな?」 「…ええっ!それ、どーゆう意味!?」陸が不満そうな拗ねた顔を天へと向けた。 それがあまりにも懐かしい表情で…それを目にした途端に、天は胸がぐっと苦しくなって、涙がどうしようもなく込み上げてきた。「ああ、陸、本当に会いたかった…」陸の頭を抱え込むように抱きしめた。「ちょ、てんにぃ!?………泣いてるの?」ごまかすように、陸の体を包み込んで体を密着させた。「……すごい、陸が腕にすっぽり入るの、なんか新鮮だね」 「…天にぃおっきくなっちゃってさ…かっこよくなったね」 「ふふ、照れてるの?」 「んー、やめてよ」陸が照れて天の腕から逃れようとする。 そんな陸の腕をぐっと掴んで、天は真面目な声を出した。「陸があの女の人を抱いててもいい。その陸を、僕が抱くから」 「……はぁ!?」 「ね、前と後ろから気持ちよくなれるね、陸。そうしたら、天国が見えるかもよ?」にっこり微笑んでやれば、陸は顔を真っ赤にして固まっていた。 陸がピュアなままなのがわかって、天の心にじんわりと熱がこもっていく。「ブ、ブラックジョークすぎるよ……それに、別に俺はあの人、抱いてないし……」 「そうなの?」 「…うん、あの人も、子供達も、寂しいだけだから……」 「そうだったんだ……」