何も考えられなかった。ただ目の前の存在を犯して、汚して…自分のものだという欲をぶつけるしか出来なくて、陸の身体のことさえ…完全に意識の外に弾き出されてしまっていた…。 もし…もしも、陸が途中で発作を起こしていたらと思うと、心臓がひやりと凍り付く。陸が発作を起こしていたら…ボクはちゃんと、陸の異変に気が付けていただろうか。 幼い頃に「こんなαが陸の相手だったら許さない」と思っていた行為を、今のボクはしてしまったのだ。 (もしかして…、薬の効果が切れた…?) 服用した正確な時間も、今が何時なのか…服用してから何時間経過しているのか、よくわからない。厚手のカーテンで遮られた窓からは、日の光も月の輝きも確認できず、光が遮られたことで作られた薄暗い部屋の中では、時間の間隔も朧気だ。