「よくぞ! よくぞ無事にぃ〜〜! たどり着いたわね!」「……」 扉をくぐったらくるりと回転しながら現れた女性。 エラーナ嬢は、まあ、当たり前だけど固まった。 ですよね。「カールレート兄さんのお母上でカレンナおば様です」「え、あ、は、は、初めまして……エラーナ……ディ、ディタリエール……です」「…………」 頭を下げるエラーナ嬢。 俺はつい、彼女を見下ろしてしまった。 エラーナ・ディタリエール。 ……うん、悪くないね。「はぁ〜じめ〜まァァァアァ〜〜〜〜して!」「………………」「オペラ愛好家なんだ」「あ、ああ……」 すごい一家だよね、分かる。「カールレートの弟でエールレートです! 初めまして!」「うっ!」「ヒサシブリー」 そして弟のエールレート。 俺たちより一つ年下。 突き抜けるような声量は父親譲りだなー。 相変わらず爽やかにうるさい。「……に、に……に、ぎやかな、ご家庭なのですわね……ほ、ほほほ……」「よく言われますわぁぁぁ〜!」 逃げたい。 すごく逃げたい。 とりあえず席に座る事は出来たけど……応接間の広さは別な意味でこれじゃ足りてないよな〜。