「視界に対象を捉えてなくても、範囲内なら対象すべてに効果を及ぼせる……」 なるほど――”上位”スキルか。 思考を走らせる。 たとえば、である。 どうしても奇襲や不意打ちを受けたくない局面。 そういう時、真価が発揮できる気がする。 あるいは相手の攻撃範囲からなんとか逃れたい時。 上手く使えば、回避や防の面でも活躍が期待できそうだ。「効果を及ぼす最大範囲もあとで検証すべきだな。あとは……」 触れ合っている対象が影響を受けずに動けるのかどうか。 ブンブン振られているスレイの尻尾。 時おり半径1メートルを越えている――気がする。 が、尻尾の動きは遅くなっていない。 つまり……俺と触れ合っていれば、その相手も動ける?「ん? なんだ、この数値……?」 俺は、MP表示横の追加表示に気づいた。 残:1359/5000 残:1313/5000 数値がどんどん減少していっている。 ……ああ、そうか。