アイドリッシュセブンが中に入ると、陸から目を離さずにいた天が顔を上げ、立ち上がって場所を譲った。 「……七瀬さん」 陸の姿を目にして、一織が呆然と呟く。三月と環が怒りのあまり拳を握り、大和、ナギ、壮五がスッと真顔になった。 「……ゆるさねえ」 低い声で唸るように言った大和の声はどきりとするほど冷たかった。何も言わないナギと壮五の顔を見た者がいなかったのは幸いだった。環が相方の顔を見たら震えあがっていたことだろう。 アイドリッシュセブンに場所を譲って病室を出た天は、少し離れた場所にいたZOOLに近づいた。 「ありがとう。陸を助けてくれて」 天に礼を言われて、ZOOLの四人は気まずそうに視線を逸らす。 「たまたま居合わせただけで、大したことしてねーし。いいよ、お礼とか。おまえらにしたことが消えるわけでもないし、オレたちは了さんがヤバいってわかってて手を組んでたんだし」 悠が目を合わせずに呟く。 「それとこれとは別だよ。君たちを許すことはできないけど、陸くんを助けてくれたことは心から感謝してる。俺からも、ありがとう」 「龍之介……」 龍之介に笑顔を向けられて、虎於は苦しげな顔をした。