「んくっ!?」
自らの体を抱きしめ、苦悶の声を上げるニトクリス。
『ちょ、ちょっと!? その座標から凄い熱量を感じるんだけど!』
通信するロマ二がパニックに。
「ニトクリス?」
「離れる方が良いぞ。このままここに居てはニトクリスの肉体に巻き込まれる」
「ん、身体が、あっつい……」
そして。
ぐぐぐ……
「あ、あれ?」
心なしか、ニトクリスが僅かにその背丈をあげた様な。
「はぅ、ファラオよ、この霊器は……」
「我が宝具を貴様の霊器として用いてやったわ。なれば、人間の身体ならばすぐに崩壊しよう。跡形も残さずにな。だがニトクリス、貴様は仮にも天空神ホルスの化身。肉体はその力に呼応する」
「ま、まさか、ファラオ」
「そうだ。とはいえ磨かれた英霊ならばその身体のまま霊器を持つことも可能だろうが、ニトクリス、貴様は未熟。肉体が霊器に合わせているらしい」
そして。
「あ、あ、身体が、身体が、ファラオ、マスター、どうか、お離れください、耐えられそうにもありません……」
「ほら貴様、何を惚けている。ニトクリスの肉体のシミになりたいか」
「ま、マシュなんかわかんないけど逃げるよ!」
「は、はい!」
デミ・サーヴァントたるマシュ、その筋力や脚力は常人よりも遥かに高い。
マスターを担いで、身悶えるニトクリスから逃走。
オジマンディアスも浮遊しながらその後を追う。
「おんやぁ、あんなにしぇくしぃな女の子を拙者の前で一人にしてもいいのかなぁ」
未だ一人、残って居た。
ニトクリスを舐め回す様に見つめる黒ひげ。
「貴方も、そのまま、振り返り、逃げなさい……」
「うひょひょ、そんなことはーー」
瞬間。
「うっ、もう、むり、んぁぁぁぁ!!」
ぐぐぐぐぐ!!
遂に、弾けてしまったニトクリスの中のエネルギー。
「うぴょっ!?」
「おおきく、なるぅ……くぁぁ!」
ぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐ!!!