13才の時だった。天が家を出ることになった。陸は、直前まで知らされなかった。「なんで!?」天にぃが行ってしまったら、お母さん達がふたりぼっちになっちゃう…必死で引き留めても、それでも天は、振り返らずに去っていく。ずいぶんたったある日、母と父の話を立ち聞きしてしまった。「天がテレビに出ている…よかった、養子になったから呪いから逃げられたのよね?」泣いて喜んでいる母に、父は静かな声で、相づちをうっていた。陸は困惑した。……呪い?それは、陸に着きまわっている、あの女のことだろうか…なぜ、天にその呪いがついてると思っているんだろう。そこまで考えたとき、初めて女と会った座敷牢のことが甦った。おにいちゃんもらうねと、言われたとき、確かに陸も天のことだと思ったのだった。なぜ兄ではなく弟の陸についてきたのかわからないが、皆間違っている。天にぃは呪われてなんかいなかったのに。 養子に出るなんて、そんなの、必要なかったのに。死ぬのは陸だと、わかっていたのに……なんとしても、天にぃを家に戻さなくちゃ。陸が家族を引き離してしまったんだ……本来在るべき形にして、それからじゃないと、陸は死ねない……