「ご、五十万!?」」「……思っていたよりも高額ですね」 ベラードが告げられた金額に、思わず腰を浮かすナターニャとサイモン。ヴァンダルーも目を瞬かせ、ユリアーナも口を手で覆っている。 正確ではないが、通貨の価値は一バウム百円程だ。なので、五十万バウムは『地球』の五千万程の大金となる。『地球』では四肢を失う事になった被害者へ加害者が払う賠償金としては、あり得ない金額では無いだろう。だが『ラムダ』の物の価値に当てはめれば、五十万バウムはかなりの大金である。 慎ましく清貧に暮らすなら、十分残りの一生を食べていける額だ。それだけあるのなら四肢を失ったとしても生きていけるだろう。ただ、本来はこれほど高くはならないらしい。「ず、随分吹っかけたじゃないのさ」「それはね……汚い話だが、ただのD級冒険者でしかなかった君が伯爵のお茶会に出席するような人物になったし、保護者が彼だからね。向こうのギルドも、精一杯配慮したようだ」 後、ナターニャがギルドに報告する際ユリアーナの名前を出さず、あくまでも「村娘のユリア」だと証言した事も関係するかもしれない。相場より多い分の幾らかは、彼女への口止め料が含まれている可能性も否定できない。「ただ、それはあくまで最高額で、そこからある程度……恐らく数万バウム程度は値引きされた金額に決まるはずだった。しかし、『炎の刃』は金額が決まる前に狩ってきた魔物の素材や魔石で、値引きされる前の最高金額を完済してしまったらしい」