「仕方ありませんっ、【全能力値強化】!」 そしてダイアナもエドガーに付与魔術をかけた。 ハインツの斬撃はヴァンダルーの左腕に命中し、切断こそ出来なかったものの半ば以上を切り裂き動きを止めた。「【サウザンドスラッシュ】!」 そこに能力値が大幅に強化されたエドガーが、付与魔術をかけられた短剣で上級武技を放った。「【対刃】、【死弾】、【無限突き】、【舌刀】」 対してヴァンダルーは全身から【魔王の体毛】を生やして、【鎧術】の武技を発動させながら魔術と節足と舌で迎え撃つ。 だがエドガーの短剣による斬撃によって、ヴァンダルーの魔術と繰り出した部位は次々に切断され、対刃繊維の塊と化した体毛も切り刻まれる。(まるでバターにでもなったような気分ですね)「【スパイラルブロー】!」 ヴァンダルーが見上げる中、エドガーが彼の兜の隙間に短剣を突き入れた。兜の中の骨を貫き柔らかい肉をかきまわした手応えに、エドガーの口元に会心の笑みが刻まれ……その身体をヴァンダルーから発せられた幾筋もの光線が貫いた。「エドガーっ!? 今回復させます!」「すまんっ、早めに頼む!」 悲鳴を上げるダイアナに、身を捩ってヴァンダルーから飛びのいたエドガーが詫びる。彼はヴァンダルーが光線を放つ寸前に身を捩り、ギリギリで急所を守っていたのだ。 だが、その代償は高くついた。