翌朝、楽は顔面を強打する衝撃で目が覚める。なんだなんだと寝ぼける余裕すら与えてくれない痛みに、起き上がって確認すれば小さい足が楽の顔に向いていた。それが天の足と分かるとどういう寝相をしているんだと驚きを通り越して呆れる。昨夜は確かに枕のある方向に頭を置いて寝かせていたはずなのに今では見事に右に九十度頭が移動している。しかも天との間に陸がいたはずなのに、天と同じ方向に頭を向けて天に抱き締められるような形で眠っているのだ。大移動しているくせにべったりなのは変わらないのかと感心する。「くぁ......なんだよ、まだ六時じゃねぇかよ...」久しぶりのオフで遅くまで寝ようと思っていた楽だったが、先ほどの衝撃で完全に目が覚めてしまった。二度寝する気にもなれないので双子を起こさないようにベッドから抜け出すと顔を洗いに洗面所へと向かう。「うわ、なんだこれ。」思ったよりも天からの蹴りが強かったのか蹴られたところが少し赤くなっていた。元々肌が白いこともあって余計に目立っていた。これはしばらく消えそうにないなと判断した楽は今日がオフで良かったと心底思った。あらぬ誤解を招いてゴシップの餌食になるのはごめんだ。 とりあえず顔を洗うかと水を出したところで寝室から泣き声が響く。慌てて水を止めてから寝室に急いで戻ると陸が大泣きしており、天もじわりと涙を浮かべていた。「どうした!なんかあったか!?」 「っにぃに!!」 「にぃっ...」 「うおっ!?急に飛び込んでくんなよ...あぶねぇだろうが。」焦った表情を浮かべて寝室に戻ってきた楽を見た瞬間に天と陸が揃って楽に飛びつく。驚きつつもなんとか受け止めたが、ギュッと楽にしがみついてからぐすぐす泣いている双子に首を傾げる。何が双子を泣かせているのか全く分からないからだ。