「父さんと話して、迷惑を掛けて本当に申し訳ないなって思ってたんだけど高校を卒業するまでは生活費の援助をお願いすることにしたんだ。だから高校を卒業した後は自分で生活費を作らなきゃいけなくて。でも身体の弱いオレなんかを採用してくれる職業なんてなかなかなくてさ。困っていた時に社長に声を掛けられて、芸能界に入ったんだ」陸の話が終わり、天は目を閉じた。 自分が九条の家に行けば、陸と両親は幸せに暮らせると思っていた。 そう信じてやまなかった。 でも自分の想像力はあまりにも幼稚だった。 結局自分が守りたかった家族はバラバラになった。 そして陸は独りぼっちになった。「…ねぇ、もう一つ教えて」 「ん?なぁに?」 「陸は、どうしてそんな自分のことを悪く言うようになったの?」陸の話は天の想像を遙かに超えた内容だった。 天の頭は信じられない話でもう一杯一杯であったが、どうしてもそのことを聞かずには居られなかった。 昔から他人の感情に敏感であったが、こんな風に自分を卑下したりしなかったのに。