新人モデル候補にしては身長が足りないし、第一、見るからに貧弱だった。どこもかしこも細くて薄っぺらい。顔は、まぁ、それなりだったが、着ている服がダサダサすぎて加々美の引き立て役にもならなかった。いや......むしろその逆で、加々美の汚点にしかならなかった。 見ているだけで苛ついた。 なのに。加々美は、そんなことなど眼中にもないのか笑顔の大サービスであった。しかも、極上級。加々美はいつだって大人の余裕で、貴明は軽くあしらわれていた。あんな楽しそうな加々美は見たこともなかった。 周囲も皆、唖然としていた。その上。『MASAKI』とのグラビア撮影の現場にも二人連れでやって来た。どうやら、そのガキは『MASAKI』とも顔見知りらしいとわかって愕然となった。 いったい。 どこの。 ......誰? あのガキ。 本当は。 ......何者? 加々美に聞いても教えてくれなかった 。それどころか。──そんなことより、おまえにはやるべきことがあるだろう。もっと集中しろ。 怒られてしまった。そんなことは初めてだった。貴明的には、けっこうショックだった。後日。そのガキが高校の体験学習の一環で『アズラエル』に三日間の研修に来ていたことが判明したときには。