兵士を連れて、研究所を後にする。龍にしがみ付いている陸の背中にそっと手を添えて、停めてあった車へと乗り込んだ。龍がそっと陸を車の座席に乗せると、陸は車にも乗った事がない様でキョロキョロと辺りを見回す。陸の横にボクが座り、目の前には楽と龍が対面する様に座る。ドアを閉めると動き出す車に陸は更に目を輝かせた。車と言う密閉空間ではボク達以外の目を気にする事もなくなったのか怯えた様子はなかった。ゆっくりと離れて行く研究所を陸は車の中からじっと見つめていた。「陸?大丈夫?」 「・・・うん」 ボクは陸の肩を引き寄せて、陸の頭をボクの膝の上へと乗せる。陸はビックリしてボクの事を見上げて来る。ボクはいい子と言って陸の頭を撫でると、陸はボクの膝の上でもぞもぞと動き、体を反転させて、ボクのお腹にぴったりとくっ付いた。「・・・陸」 それは、昔から陸が発作でなかなか寝付けない時にボクが少しでも眠れるようにと陸によくしていた体制だった。ボクのお腹に手を回して、ゆっくりとその目を閉じる。そしてすぐさま、寝息が聞こえて来た。「眠ったのか?」 「うん・・・昔と変わらない・・・ボクのお腹に手を回して寝る癖も何も変わってない・・・」 「昔から陸君はこうやっていたの?」 「発作が出てなかなか寝付けない時は陸がこうしてボクのお腹にくっ付いて良く眠っていた。安心するのだって・・・」 陸の寝顔を見ながら昔の事を思い出していた。「しかし、助け出した子供が天の弟で・・・どうやって上に説明する?」 「九条さんにだったらボクが話すから良いよ。九条さんはボクの過去の事を知っている人だから。記憶が少し戻った事も全て話す」 「天・・・」 「それに、やっと陸に会えたんだ・・・もう二度と離れたくない、この子をもう二度と危険な目に合わせたくない」 「まぁ、元師に報告は任せた。オレ達は一応あいつらにも報告しとくか・・・黙っていたら絶対うるせぇからな」 「彼らに今日の事言ってなかったの?」 「部隊が違うんだし言う訳ないだろうが。何でいちいち報告しなきゃなんねーんだよ・・・ったく」 「そう言いながら、楽はいっつも二人でお酒飲んでいるよね」 「ねー」 「時々二人じゃない時もあるけどね」 「本当、あの人達が絡むとカオスだよね」 「しょうがねーだろう・・・」 「はいはい。陸が起きちゃうから静かにね」 「このクソガキ・・・」