愛されて育ってきて愛されて夫婦になって。
きっと私はしあわせな子どものままだった。
——それがいけなかったんです。
膝にあたる冷たい床の感触と、
手に持ったものの熱い弾力。
耐え切れずに私が顔を背けようとすると、
彼はニヤニヤと笑いながら私の頭を押さえつけた。
ついこの間までは夫以外の男の人の感触なんて知らなかったのに。
数日で慣れてしまった、手のなかのそれがぐっと大きく膨らんだ気配に備え、
私は命令通りに舌をつきだしていた——。
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来島みなと、結婚三年目の若妻、経験は夫だけ。
穏やかでお人好しの彼女は、あることをきっかけにして隣に住む不良学生——リクに目をつけられてしまいます。
軽いノリで、けれど執拗に迫られて困惑するみなと。
時期を同じくして夫は過労で体調を崩し、みなとはリクのことを身近な人に相談できないまま一人で抱え込みます。
年下の男子に羞恥を煽られ、女としての性を自覚させられて。
平穏な日常は崩れて心は余裕をなくし、その身体はやがて流されていきます。
寄る辺をなくしたひとりの女の行き着く先はいったいどこなのでしょうか。
最後まで見届けてください。