「Cランク冒険者の洗礼ってのが、ランク5の魔物との初戦らしいからよ。ニーナさんたちは別として、ランク6の骸骨騎士に勝てる俺はCランク冒険者より強いと思ってたんだけどな」「ランク6って言っても、骸骨騎士はギリらしいからな? 同じランクでもピンキリなんだぞ。それに人型や大型、種族によって強さも別物ってくらい変わってくるからな」「わかってらあっ! お前はなにを偉そうに、王様の受け売りを得意げに喋ってんだ!」「わははっ。よくわかったな」「ちっ。馬鹿にしやがって」「そんな怒るなよ。モリ婆さんのとこでも行こうぜ」「おっ。いいぞ!」 モリ婆さんとは、駄菓子屋の店主である。タランはこの駄菓子屋で売っているきなこ棒が大好きなのだ。 道中を談笑しながら歩くタランであったが、気になることがあった。ナルモの身なりがどうも以前と比べて良くなっているのだ。それも自分に見せつけるように、先ほどから腕輪や指輪などをチラチラとアピールしているように感じていた。「あ?」「だからカンタンが凄いって話だ」 ナルモの身なりに気を取られていたタランは、うわの空でナルモの話をほとんど聞き流していた。「ああ、カンタンな。凄いってのは地図の話か?」「それ以外にねえだろ」「まあ確かにカンタンの地図はすげえよな。森の中の集団戦で、地図があるほうとないほうで、あんだけ変わるとはな」「知ってるか? 人族の商人どもが、カンタンに頭を下げて地図を売ってくれって頼み込んでんだぞ」「はあ!? なんだそりゃ」「それだけ価値があるってことだよ。もしかしたらお前んとこの弟も、すげえかもしれねえぞ?」「やめろ」