なかなか話し出さない私に同僚がフォローを入れる。そして「陸、自己紹介くらいちゃんとしなさい!」と小声で言われ小突かれる。私はあえて困ったような表情を作り、同僚に向ける。しかし、再び小突かれる。どうやらこれ以上は助けてくれないようだ。 意を決して私は口を開く。「七瀬陸です。『九条天』担のTRIGGERのファンでした。よろしくお願いします。」頑張って笑顔を作った。でも、あなたとは目を合わせなかった。どういう風に見られているか怖かったから。見たらダメなような気がした。「キミもボクと同じで七瀬っていうんだね。もしかして運命だったりして。」そういってあなたは至極幸せそうに笑う。でも、私を見る目は変わらない。 同じ名字?運命?当然だよ。 だって私たちは双子の兄妹として産まれてきたのだから。 それを運命と言わずなんと言うの?