どんどんと顔色を悪くしていく姿に楽は狼狽える。ただ咳き込んだだけだと思っていたのに状態は良くなるどころか更に悪化していくのだ。どうしてだと戸惑っていると宗助が自身の鞄を漁り始め、青いものを取り出したかと思えばそれを赤色の髪の男の子の口元に当てる。「天、陸に合図するんだ。吸入器は私が押す。」 「わかった。」宗助に名前を呼ばれて一瞬驚いた表情を浮かべた薄桃色の髪の男の子──天だったが、すぐに何をするのか理解し頷く。そして赤色の髪の男の子──陸に苦しいけど大きく息を吐いてと言うと陸は咳き込みながらも天の指示に従う。ある程度息を吐き切ったところで大きく吸ってと言ったタイミングに合わせて薬を噴射する。上手く吸い込んだのを確認した宗助はこれで落ち着くだろうと分かりづらいが肩を撫で下ろしていた。 ただ一人この状況を傍観していた楽は混乱する頭でなんとか整理しようとしていたがそれでも宗助とこの二人の男の子の関係性が全く分からなかった。「親父...どういうことか説明してくれるんだろうな。」 「しようとしたところでお前が勘違いしたんだろうが。」 「それは......悪かった。」