「けれどのう?教皇の派閥だろうと奴らの敵の派閥だろうと、武力でなんとかしようとするなら、今の世の中、必ず魔導が必要になる。勿論、今の教皇も、権力を奪い取る際に魔導勢力を利用しておる。儂は、魔導の権威として、今の教皇に魔導との繋がりは無く、新儀式派にはあると証言して、当時の奴らの簒奪を正当化してやった」 校長は淡々と話す。ルシャさんの淹れたお茶を美味い美味いと言って啜る姿とはそぐわない、大人の事情だった。「魔導側からすれば、教会の内輪揉めなんぞ、どうでもよいでな。むしろ内で揉めてくれる間はこちらに飛び火もせんから、好都合でもある。だから儂は今の教皇の肩を持った。儂らは、魔導師を育てて、魔導を研究できれば、それでよい。世間体も風評も、儂らには大して価値は無い」