数日後、ガクとテンの姿はホーク邸の近くに身を潜めていた。 テンはこの日の為に仕立てられた士官学校の服に慣れない様子でちょいちょいと袖を引っ張っていた。 「テン、お前は屋敷で待機しててもよかったんだぞ?」 そんなテンの様子を横目で見ていたガクはそう声を掛けた。 「大丈夫。もう普段通りに動けるし、何よりこの屋敷の構造はボクが一番知ってる」 声を掛けてきたガクを見上げ、微かに口角を上げた。 「なにより、早く妹を助けたい」 「…そうだな」 ガクは懐に閉まっている令状を服の上から押さえた。 そこにはナギの名前でホーク邸を捜索許可が記されている令状が入っていた。 「とにかく、お前は顔が見えないようしっかりフード被っとけ」 ぐいっと浅く被っていたフードを引っ張り深く被り直させた。 「…準備はいいか?」 その声にテンは頷いた。 「行くぞ」 一歩、足を踏み出した。