「おい、それって俺たち、お前の世話係ってことかよ。」 楽が怒ったように声をかける。龍之介は焦りをひどくする。 「楽、雇い主に向かってその言葉は!!」 「そうだよ。僕は信頼した、契約した人しか傍に置かない。対価に見合う金額を払うって書いたでしょ。だから、それ相応のことを君たちに頼んだんじゃないか。」 「俺たちはボディガードが専門だ。世話なんて。」 「自分のことは大体できる。君たちも食事、洗濯、掃除はできるって、社長さんから聞いているけど?…なに、出来ないの?」 「できるに決まってんだろうが!!」 出来るのだ。家族の手伝い兼家事をしていた龍之介はもちろん、楽も祖父母や母の手伝いをしていたり、一人暮らしをしていたため家事はやったことはあるのだ。 「だったら、何も問題ないよね…よろしくね、大きなわんこさんたち。」 「くっそ。いつかお前のそのすかした鼻をへし折ってやる。」 「もう、楽も、天君も、いい加減にしてくれ!!」 こうして、三人の生活が始まった。天はほぼ毎日ショーや音楽関係の仕事があり、二人の主な仕事はボディーガードだった。しかし、天の仕事に向かう真摯な態度と熱意を見て、家では休ませてあげたいと考えた龍之介は楽を巻き込み世話係として精力を注いだ。その熱さと真剣な態度に、楽は折れて持ち前の熱さと器用さで助力した。二人の態度、天への思いに天の冷たい心も溶けていき、三人はだんだん、喧嘩しては仲直りして絆を深めていったのだった。