「泣かないで、グリンダ」「泣いてなんかないわ。あなたがあんまり悲しいことを言うから、驚いてるのよ」「驚いても涙は出るのね?」「だからこれは涙じゃなくて、……えーっと、……宝石を作る魔法の水よ!」「あぁ、汗とか鼻水とかは、言わないわよねぇあなたなら……」 頬に添えられた手に、そっと自分の手を重ねる。ゆっくりと目を閉じると、てのひらのあたたかさがあんまり心地良くて、じわじわと瞼の裏で涙が滲んだ。 宝石を作る魔法の水。うまくまとめられていないところまで、グリンダらしくてたまらない気持ちになった。 自然と、口が開く。「ねぇ私、きっともうあなたのこと、……」「……ちょっと、もう、なぁに? 最後までちゃんと言って!」